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「忘れ物」ー先生のための保健室コラム

「忘れ物」ー先生のための保健室コラム
2017年10月25日 pulusu

こんにちは!もっちです。

 

運動会が終わり、日常の生活が戻って来たでしょうか。そうなると、気になるのが、「忘れ物」です。
「あんなに言ったのに」
「忘れると隣の人に迷惑をかけるよ。」
「お家の人は、連絡帳を見ているのかしら。」
心の中の声が聞こえてくるようです。

 

忘れ物は、低学年のうちは、お家の人の責任。中、高学年になったら、自分の責任。連絡帳に明日の用意を書き、それを見ながら用意をすれば、忘れるはずがない、と私も思っていました。
そこで、忘れ物カードを作り、忘れたら、自己申告するようにしました。
でも、忘れ物が多い子は、変わりません。

 

どうして忘れるのか考えてみました。
すると、大きく分けて次の三つの原因があるように思います。

 

  1. たまたま、忘れてしまった。
  2. 子どもの特性で気を付けていても忘れてしまう。
  3. お家の方が、様々な理由で用意まで見きれない。

 

現象は、「忘れ物」ですが、3パターンとも同じ対応でよかったのでしょうか。忘れ物カードが有効なのは、1の子たちです。
2の子たちには、どのような方法があるのでしょうか。
その前に、2の子どもは、どのような子でしょうか。
観察してみると… 次のようなことが分かりました。

 

①授業中に、話を最後まで聞かないで行動する。
②授業中、ボーッとしていることがある。
③気になることがあると、そちらに注意が行ってしまい、今やらなければならないことができない。
④ランドセルや机の中で、教科書とノートが、教科がバラバラ、向きもバラバラになっている。

 

この子たちに、どのように対応したら、忘れ物が少なくなるでしょうか。
みんな一斉にこうすれば忘れないという名案はないのではないでしょうか。
合理的配慮という言葉があります。個に応じて、忘れる理由が違います。忘れない工夫をしていくことが、大切です。

 

○大事なことを言うときには、注意を個別に促して言う。
○教科書とノートをセットして輪ゴムでまとめておく。
○筆箱の中の鉛筆や消しゴムの置き場所を決めて、写真にとって貼っておく。
○机の引き出しの中にどこへ何をおくか写真にとって貼っておく。

 

家の事情で、どうしても忘れることがある場合があります。
うっかりしても大丈夫という安心感を持ってもらうためにも、先生のところに、忘れたら貸せる物を用意しておくことが、よいと思います。

「鉛筆・消しゴム・定規類(定規、三角定規、分度器)・コンパス・ハサミ・色鉛筆・クレパス・絵具・習字道具・裁縫道具・リコーダー・鍵盤ハーモニカなど」

道徳や書写など毎日使わない教科書は、学校に預かっておきます。(もう、先生方は、なさっていらっしゃいますね。)

 

 

学校は、ひとり立ちさせるために必要なことを学ぶ場所と思っていました。
ですから、忘れ物はいけない。忘れたら自分が困ることを学ばせることも必要だと考えていました。
しかし、それは、大きな間違いだったように思います。
確かに、一人前に社会に出て困らないように学ぶ場ではありますが、子どもに寄り添って、「困っていることが困った」と言える関係を作れること。困っていることについて一緒に考えることが、独り立ちできることにつながると思うようになりました。

 

私も明日の用意を子どもたちに伝え忘れることがあります。
そこで、朝のうちに子どもたちに「明日は、レジ袋を持ってくる。帰りの会に言うのを忘れそうだから、忘れてたら言ってね。」と頼むようにしています。

 

人の行動は、その人の考えで決まっていきます。意識して、行動をすると、結果が改善されていきます。ですから、動機づけをいかにするかということになります。
それは、本人の困り感を理解して、動機づけができるように共に考え、本人が、納得して行動を決められるようにするのです。そうすることで、忘れ物も減っていくと思います。
それでも、うっかりはあります。そこを理解して、対応することが良いのではないでしょうか。

》先生のための保健室(学校の先生方へ) ─先生方が気軽に立ち寄れて…『精神障がいや発達凸凹のある保護者』へのかかわりに生かせる情報と、先生方もちょっぴり元気になれる情報のページ ※プリントづくりについての配慮、このコラムへのリンクを追加しました