B 双極症[そうきょくしょう]

イラストで学ぶ病気や障がい

双極症

そう状態(元気すぎる)とうつ状態(元気がなさすぎる)があらわれる病気です。
双極性障害[そうきょくせい しょうがい]、躁鬱[そううつ]病、と呼ばれることもあります。

ページにおこしいただきありがとうございます。
大人も子どももいっしょに見られて、基本的な知識を学べるページです。およそ小学校中学年~大人の人に向けです。もっとくわしい情報を知りたいときは、参考サイトがページの下の方にあります。
子どものみなさんは、わかりにくいことや、ぎもんに思ったことは、大人の人に聞きながら読んでください。

担当:ぷるすあるは

印刷用まとめシート

ページのポイントをA4×2枚のシートにまとめました。

1 どんなことが起きるの?
(症状[しょうじょう]と経過)

そう状態(元気すぎる)とうつ状態(元気がなさすぎる)がくり返す病気です。
症状のあらわれ方や経過はひとりひとりちがいます。ここではおきやすいことをあげます。

そう状態のとき(そうエピソード)

「そう」は陽気になるイメージがあるかもしれません。実際には、イライラやおこりっぽさがでてくることが多いです。
そう状態は、まわりから見て、病気の症状だとわかりにくく、自分でも気づかないことも多いです。
症状がひどくなると、仕事や対人関係のトラブル、借金など、社会的な問題につながってしまうこともあります。入院が必要になることもあります。
まわりがそれほどは困らない程度のそう状態は、「軽そう状態」といいます。

 

うつ状態のとき(よくうつエピソード)

うつ症状がひどくなると、身のまわりのこともできなくなり、人をさけ、ひきこもることもあります。
そんな自分をさらにせめてしまい「しにたい」「きえたい」と感じることさえあります。
(うつ病のページに症状のくわしい説明があります)

経過[けいか]について

うつ状態から病気が始まった場合、すぐにはそううつ病かどうかはわかりません。途中でうつ病→そううつ病へと病名がかわることもめずらしくありません。
そう状態に気づかれずに「うつ病」として治療されていることもあります。
経過全体でみると、そう状態よりも、うつ状態の時期がしめる割合がずっと多いことが一般的です。
波がくり返す病気で、生活上の工夫をしながらゆっくりつきあう慢性疾患[まんせいしっかん]です。

トップにもどる

2 回復のサポートになることは?(治療[ちりょう]など)

自分にあった病気とのつきあい方、生活の工夫を見つけていけるとよいです。
本人の希望、安心、つながり(仲間)、居場所、役割などが、回復をささえる力になります。

治療が必要な「そう状態」を経験した人は、繰り返すことが多いため、症状がおちついているときも、クスリをつづけることがすすめられています。
そううつ病では気分を安定させるクスリが一般的です(うつ病の「抗うつ薬」とは種類のことなるクスリです)。

大切な話は、’そう’や’うつ’がひどくないときにします。落ち着いているときに、「不調のサイン」「調子がかわる(そう状態になる)ときのサイン」などを、本人とまわりの人とで話しておけるといいと思います。

調子の波とつきあいながら、ひらめきや企画力、行動力などが、仕事や新しい物事へのチャレンジなどに生かされていることもあります。

ページ案内

コミュニケーションを助けるアイテムいろいろ
調子を知る/伝えるためのアイテム、診察時のコミュニケーションに使えるアイテムなどを紹介しています
》ページへ

たとえば…
『こころとからだ コンディションカード』
きもち・からだ・脳とこころカードなど全100枚
うつのとき、ふつうのとき、そうのとき。カードで視覚化して、自身の調子に気づいたり、まわりの方と共有することに役立てている方もいます。

ご家族、まわりの方へ

うつ状態、そう状態の調子の波、さまざまな症状に、家族や身近なひとがまきこまれてしまうことがあります。
特に、そう状態のとき、病状からくる攻撃的な言動がご家族へ向かってしまったり、さまざまな社会的な問題が起きて、大きな困難につながってしまうことがあります。
まわりの方がサポートされ、安全が守られることが大切です。
入院治療が必要だと考えられる場合もあります。
本人が心配な状態なのに病院に行かないとき、通院先があるときは、まず、通院先へ相談します。
家族だけでも相談できる公の機関には、保健所、精神保健福祉センターがあります。

ページ案内

ご家族のみなさんへ
ご家族の対応についてや、家族会の情報などがあります
》ページへ

トップにもどる

3 病気の人はどれくらいいるの? 原因は?

およそ1000人に4-7人くらいといわれています*。

うつ病よりは少ないです。
原因ははっきりわかっていませんが、脳の病気という側面が大きいと考えられています。

*こころの情報サイト|国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所

4 病気をかかえながらの子育てについての情報は?

病気をかかえながら親をすることは大変な取り組みです。

》親のみなさんへ〜ゆるゆる子育て
少し気持ちが楽になるような情報、サービスの情報、イラストブックやリンク集、自助会の情報などをのせています。

》こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド(一般の方向け) <外部サイトへとびます>
(公益社団法人⽇本精神神経学会・⽇本産科婦⼈科学会)
精神疾患と妊娠・出産・授乳・子育てに関する情報がまとまっています。
Q&Aスタイルで読みやすいです。

アイテム案内

『ゆるっとこそだて応援ブック』
(プルスアルハ著)
病気をかかえながらの子育てを応援しているイラストブックです
》絵本紹介ページへ

5 (親が病気のとき)子どもの安心のためにできることは?

病状から、子育てや家事、仕事などへさまざまな影響があることがあります。次のような子どものサポートができます。

  • 日常生活をサポートする:食事、生活リズム、身だしなみ、学校の準備、遊びなど
  • サービスや制度を使い、現実的な家事育児の負担をへらす(特にうつ状態のとき)
  • 子どものどんなきもちもみとめる
  • 親の病気について、そう・うつの状態の傾向や切りかわるとき特徴[とくちょう]など、の子どもの理解にあわせて説明する。病状は子どものせいではないことを伝える
  • こまったときの対処法を相談しておく(「こまったときカード」を作るなど)
  • そう状態で具合がわるいときは、子どもの安全を優先して、きょりをとったり、だれか信頼できる人の所にひなんなどをする
  • 家族が少し元気になる、病気や対応について知る、ひとりだけでかかえずに相談してみる

ページ案内

親が精神障がいやこころの不調になったときの子どものケアガイド
子どもへのかかわりについて、とくに病気を伝えることについて、くわしく説明しています
》ページへ

「権利から始まるリソースマップ」
子どもがのぞむこと?親がのぞむこと? のぞみをかなえる仕組み(サービス)を見つけるシートです。
》ページへ

子どもさんとみられるメッセージと工夫のページ

》小学生のみなさんへ
》中高生のみなさんへ
》ヤングケアラーのみなさんへ

子どものサポートのための絵本

》絵本リストへ

参考図書のコーナーに、双極性障害の親をもつ子どもにおくる応援の絵本の情報があります。

トップにもどる

6 くわしい情報を知りたいときの参考サイト&図書

ウェブサイト

  • 日本うつ病学会双極性障害委員会 http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/sokyoku/
    啓発用パンフレット「双極性障害(躁うつ病)とつきあうために」「双極性障害とは(I型・II型)」「睡眠覚醒リズム表」などが掲載されています。
    妊娠・出産を体験した双極性障害患者さんの事例紹介、が公開されています。
  • 『日本うつ病学会診療ガイドライン双極性障害(双極症)2023』(2023/3/1作成) https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_sokyoku2023.pdf
  • すまいるナビゲーター双極性障害(大塚製薬)http://www.smilenavigator.jp/soukyoku/index.html
  • ノーチラス会(NPO法人日本双極性障害団体連合会)
    双極性障害の当事者を中心としたNPO。
  • 双極性障害研究ネットワーク 
    双極性障害の当事者と研究者をつなぐネットワーク。定期的にメールニュースを発行中

図書

  • 『双極性障害Q&A 人生行ったり来たりリカバリー!』,加藤伸輔・秋山剛著,NPO法人コンボ,2019
  • 『きょうのお母さんはマル お母さんはバツ』双極性障害の親をもつ子どもにおくる応援メッセージ,監修:肥田裕久,文:雨こんこん 絵:はにゅうだゆうこ,星和書店,2017年
  • 『みんなの双極症:日常の悩みから最新知識まで』南中さくら・精神科医さくらこころのクリニック院長,合同出版,2021年
  • 『ちょっとのコツでうまくいく! 躁うつの波と付き合いながら働く方法』松浦秀俊著,秀和システム,2024

病気や障がい・精神科について知る(病気の一覧のページへ戻る)


このページの担当

 ぷるすあるは

検索