先生のための保健室。担当のまさみです。
先生方にはあまり知られていない、だけどぜひ知ってもらいたい『保健室ならではの技』があります。
「保健室活用術」として、今回はその一つ「健康相談」についてお伝えしたいと思います。
今すぐには使わなくても、知っておくとお得なことがあると思います。
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健康相談とは
・目的:児童生徒の心身の健康に関する問題について、児童生徒や保護者等に対して、関係者が連携し相談等を通して問題の解決を図り、学校生活によりよく適応していけるように支援していくこと
・方法
①養護教諭が行なう
②学級担任等が行う
③学校医や主治医、カウンセラーなどの専門家が行う←(養護教諭や管理職が窓口になることが多いです)
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健康相談をうまく進めるためのポイント
「健康観察」と「みんなで解決!」
①健康観察「毎日子どもの顔を見ている先生たちの目がとても大切です」
従来、健康相談は学校医、学校歯科医が行うものとされてきました。
ですが、学校保健安全法*が施行されて以降は、学校医、学校歯科医のみならず養護教諭や学級担任も行なうものとなりました(*このページの後半に一部掲載しています)。現代の子どもの健康問題は、今では多岐にわたります。健康診断の結果による判定や本人からの訴えを待つだけでは、対応しきれません。
そんなときに、毎日子どもの顔を見ている先生たちの目がとても大切です。
朝、あいさつをするときの子どもの表情や身だしなみ、休み時間の過ごし方、授業への参加や提出物の状況など、いろいろなかたちで発信されるメッセージを先生方に受け取ってほしいのです。
確信がなくでも、ちょっと変だなと思ったことは胸のうちにしまっておくのではなく、身近な先生に「ちょっとこの子が気になるんだよね」と雑談のなかで話してみてください。保健室へ行って「最近、保健室にはどんな子が来ていますか?」と情報収集するのもいいかもしれません。こうした動きが早期発見、早期対応につながるため、養護教諭や先生が健康相談を行なうことになったと考えられます。
養護教諭は、ケガや体調の様子、健康に関するデータなどから健康問題を早期発見しやすい立場にあります。健康相談や保健指導が必要かどうか、医療機関などにかかる必要があるかどうかなどの判断をしたり、支援が必要な子どもや家庭、アドバイスが必要な先生方のためにコーディネーターとなって早期対応したりすることが求められています。
②みんなで解決!健康相談のいいところ
・相談の対象は、子どもでも大人(保護者でも教員)でもいい!
・メンバーは、状況に応じて変えることができる。
・保健室(相談室)という場所を使うことで「いつもとちょっと違う」ことを伝えられる。
・同じ内容でも養護教諭が話すことで「ちょっと専門的な説明」ができたり、「健康に関する大事なことを話すんだ」というメッセージを伝えたりすることができる。
・専門家が話すことで「誤解→理解」、「心配→安心」に変えることができる。
・学校医などが話すことで「病院に行ったほうがいいかどうか」をはっきり伝えたりすることができる。
・プライバシーが確保される。
・大切な「健康」のことだけを考え、話す時間が確保できる。
・「秘密」を守ってもらえる気持ちができる。
※下線部分が、特に、専門家が入って、みんなで解決することのメリットと考えられることです
《参考》学校保健安全法(平成20年6 月18日公布、平成21年4 月1 日施行)
(健康相談)
第八条 学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行うものとする。
(保健指導)
第九条 養護教諭その他の職員は、相互に連携して、健康相談又は児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行うとともに、必要に応じ、その保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。第二十四条及び第三十条において同じ。)に対して必要な助言を行うものとする。
(地域の医療機関等との連携)
第十条 学校においては、救急処置、健康相談又は保健指導を行うに当たつては、必要に応じ、当該学校の所在する地域の医療機関その他の関係機関との連携を図るよう努めるものとする。