4月はこれからの1年間を決める大切な時間。新しいクラスで友達を作ったり、係を決めたり、学校から配られた大量の書類を提出したり、新しい体操着や文房具をそろえたり、子どもたちも保護者の方も大忙し。先生たちも、新しい職場環境の中で、慌ただしい毎日を何とか乗り越えやっと子ども達一人一人の特徴が見えてきたところではないでしょうか?
保健室でも学校がスタートしてたった2週間でも見えてくることがあります。
わかりやすいのが「提出物」。
多くの提出物は、ピシーっと揃って配布した次の日には提出されます。ときどき、印鑑もれやちょっとした記入漏れがあったりもします。でも中には、用紙がしわくちゃになっていたり、期限を過ぎても連絡帳で伝えても反応がなかったり、白紙のままだったり、とりあえず名前を書いただけのものも。
「困ったな~」「ちゃんと出してくれればいいのに…」ついついそんなつぶやきがでてしまいそうになります。けれど、実はこれって大きなチャンスだと思いませんか?
・自分の伝え方を見直すチャンス
・相手のことを知るチャンス
忙しいときにひと手間かけるのは、とても大変なことだと思います。でもやっぱりこの一年間を楽しく過ごすためには、最初に丁寧にお互いを知る努力をして関係を築いていくことはとても大切です。
基本的なことかと思いますが、チャンスを生かすためのプランをまとめてみました。
1)困り/怒りで終わらせずに、原因を考える
どうしてこの家庭はいつも期限を守ってくれないの! まだ大事な書類が出てない… なんでこの子はこんなに忘れ物が多い?
この困りや怒りの気持ちで終わらずに、その原因をしっかり考えてみます。
- どこがわかりにくかったのか考える。
→丁寧な説明もただ長いだけや字が多すぎになっている、漢字が苦手、言葉が専門的、文章とイラストが合っていない、文章だけでは内容がイメージしにくい、具体性にかける、情報量が多すぎる
- 相手の認識を確認する。
→こちらは問題と思っていることも向こうは思っていないかも、先生に対する潜在的な恐怖心や苦手感をもっているかも、やらなくちゃ!とは思っているけど方法がわからない/これでいいのかと自信がない/できない
2)伝え方を工夫する
毎日のように配られる学校からのプリント。実は先生たちも提出物のチェックは大変だったりします。保護者の方だって「全部目を通していられない」「いつまでに出さなきゃいけない?」「とりあえず名前書いてハンコ押しとけば…」と思ってしまうのも当然です。
できるだけ「少なく」「わかりやすく」「シンプルに」することが大切です。
3)こだわらない ─他の方法で替えられないか考えてみる
→提出しなくても連絡帳でのやり取りで代替できるかも。
→書類の提出期限が過ぎても、来校したときにまとめて書いてもらえれば大丈夫
- 同じ先生でも知っていることや認識には違いがある。
保健室への提出物でも「絶対に提出が必要なもの/情報」と「提出しなくてもいいもの/情報」があります。保健室以外でも同様です。担当者に直接確認することで、保護者や先生自身へのプレッシャーを減らすことができます。
4)教育や支援のチャンスだと考える
モノがそろっていなくても、子どもたちで助けあう力を育てるいい機会になるかもしれません。指定したものと違っても、他のもので代用できないか柔軟に考える力が育つことにつながるかもしれません。
5)先生たちと情報を共有する
「なにか困っていそうだな」
そう気づいても学校の先生に「実はこんなことで困っています」と保護者が保護者自身のことについて話すのはとても勇気がいるし、そもそもそんな機会なかなかありません。
かといって、先生の方からズバリと聞くわけにもいかず…。家庭の実態や困りごとに関する情報を得るのは難しいのが実態です。そんなときは周りにいる先輩の先生方に聞いてみましょう!知らなかった情報や、経験に基づく意外な解決策がでてくるかもしれません。
※プリントづくりのポイントは「少なく」「わかりやすく」「シンプルに」
提出の要・不要、提出期限は特にわかりやすく明記します。
・全員、提出が必要な書類
・参加者、希望者など、必要な人だけが提出する書類
・提出が不要な書類
不明な点が尋ねやすいように、ひとこと添えられているのもよいですね。
一般的な学校からのお知らせは以下のようなフォーマットです。
リンク
》先生のための保健室(学校の先生方へ) ─先生方が気軽に立ち寄れて…『精神障がいや発達凸凹のある保護者』へのかかわりに生かせる情報と、先生方もちょっぴり元気になれる情報のページ ※プリントづくりについての配慮、このコラムへのリンクを追加しました