親がアルコール依存症になったときの、子どもの気持ちの理解とかかわりをテーマにした、日本で初めての絵本です。解説つき。
01.絵本のあらすじ・解説
主人公ハルは小学校低学年。相棒はネコのココ。お父さんは最近、お酒を飲んでばかり。キャッチボールの約束をしていてもお酒を飲んでしまいます。お酒をとめようとするお母さんとケンカになったり、ケガをして救急車で運ばれたり・・・。そんなお父さんが、いくつかの契機を経て、専門治療につながり、お母さんは家族会につながります。ハルにもお父さんの病気について説明し、家族全体が回復の一歩を踏み出すまでを描きます。
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後半の解説コーナー(p48-p64)は、病気についての解説、絵本のシーンと対応させた子どもの気持ちの理解と対応など、詳しく説明しています。病気を伝えるときのポイント集、相談先リスト、困ったときの連絡先を書いてカード[付録]などもついた「実践的な本」です。
03.絵本を特におすすめしたい方
親や家族/養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー/保健所、保健センター、精神保健福祉センター/児童相談所/医療機関/子育て支援機関/図書館(小中高校/大学/公共)
子どもや病気に関わる全ての方が絵本の対象です
※対象年齢 子ども〜大人まで(小学校低学年までは大人と一緒に)
主人公ハルは小学校年生の設定ですが、すべての年代で活用できます
絵本の使い方
- 大人が読んで子どもの気持ちを知り、日々のかかわりのヒントに
- 子どもといっしょに読んで、話をするきっかけに
- 子どもがひとりで読める場所に置く(思春期〜)
- 病院や相談室の待ち合いなどに置く
- 支援者の方からご家族へ紹介する
- 啓発イベントや朗読会などで朗読して、多くの方に子どもたちの存在やケアについて知ってもらう
- 依存症デイケアなどでの教材として活用する
04.推薦文 呪文は必ず解ける
松本俊彦先生
(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター副センター長 /薬物依存研究部診断治療開発研究室長)
心の病気は家族にある呪文をかけます。「語っていけない」、「質問してはいけない」。
そのせいで、家族は秘密を抱え込み、地域から――ときには親族からも孤立します。
最も深刻な被害を受けるのは子どもです。
子どもは、「どうして?」という言葉を飲み込み、周囲に心を閉ざし、たとえば「ママが変になったのは、ボクが悪い子だからかな」とひそかに自分を責めつづけるのです。それは、暴力と同じくらい、子どもの自尊心を打ちのめします。呪文とは、理由を知らされない謎のルールです。呪文を解くには、子どもに心の病気のことをわかりやすく伝える必要があります。でも、どうやって?
大丈夫、プルスアルハの絵本があれば、呪文は必ず解けます。
05.関連絵本
プルスアルハ著/ゆまに書房
・家族のこころの病気を子どもに伝える絵本
①ボクのせいかも…─お母さんがうつ病になったの─
②お母さんどうしちゃったの… ─統合失調症になったの・前編─
③お母さんは静養中 ─統合失調症になったの・後編─
④ボクのことわすれちゃったの? ─お父さんはアルコール依存症─
・子どもの気持ちを知る絵本
①わたしのココロはわたしのもの ─不登校って言わないで
②ボクの冒険のはじまり ─家のケンカはかなしいけれど…
③発達凸凹のボクの世界 ─感覚過敏を探検する─
・『生きる冒険地図』/学苑社
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『かぞくがのみすぎたら』/サウザンブックス社