親が統合失調症になったときの、子どもの気持ちの理解とかかわりをテーマにした、日本で初めての絵本です。解説つき。前編は入院編(急性期)、後編は療養編(回復期)です。
01.絵本のあらすじ・解説
前編
主人公ホロは小学校低学年。相棒はぬいぐるみのクマ子。お母さんは、最近、近所の人が悪口を言ってると家にこもったり、どこかへでかけてしまったり・・・ホロはそんなお母さんの病状にまきこまれています。入院したり生活の様子が変わるのに説明はないままで、不安なひとりぼっちな気持ちでいます。
病院のスタッフと相談したお父さんが、ホロにお母さんの病気について話してくれます。「ホロのせいじゃないんだよ」のことばと、病気の症状の説明に、ホロは少し安心します。お母さんが退院して帰ってくるまでのお話です。
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後編
お母さんは退院してきましたが、以前とは様子がことなるようです。ホロは「お母さん元気になるのかな…」と学校でも気になります。ホロの家には、定期的にゆらお姉さんが訪ねてきます。少しずつ話をするようになったゆらお姉さんに、病気のこと、疑問に思っていることを尋ねます。病気のご本人も家族も、ゆっくり病気と付き合っていく様子を描きます。そしてまわりの大人の人ができることを考えます。
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後半の解説コーナーは、病気についての解説、絵本のシーンと対応させた子どもの気持ちの理解と対応など、詳しく説明しています。病気を伝えるときのポイント集、相談先リスト、困ったときの連絡先を書いてカード[付録]などもついた「実践的な本」です。
02.朗読動画
前編
後編
03.絵本を特におすすめしたい方
養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー/保健所、保健センター、精神保健福祉センター/児童相談所/医療機関/子育て支援機関/図書館(小中高校/大学/公共)
親や家族/
子どもや病気に関わる全ての方が絵本の対象です
※対象年齢 子ども〜大人まで(小学校中学年までは大人と一緒に)
主人公ホロは小学校年生の設定ですが、すべての年代で活用できます
絵本の使い方
- 大人が読んで子どもの気持ちを知り、日々のかかわりのヒントに
- 子どもといっしょに読んで、話をするきっかけに
- 子どもがひとりで読める場所に置く(思春期〜)
- 病院や相談室の待ち合いなどに置く
- 支援者の方からご家族へ紹介する
- 啓発イベントなどで朗読して、多くの方に子どもたちの存在やケアについて知ってもらう
04.推薦文 呪文は必ず解ける
松本俊彦先生
(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター副センター長 /薬物依存研究部診断治療開発研究室長)
心の病気は家族にある呪文をかけます。「語っていけない」、「質問してはいけない」。
そのせいで、家族は秘密を抱え込み、地域から――ときには親族からも孤立します。
最も深刻な被害を受けるのは子どもです。
子どもは、「どうして?」という言葉を飲み込み、周囲に心を閉ざし、たとえば「ママが変になったのは、ボクが悪い子だからかな」とひそかに自分を責めつづけるのです。それは、暴力と同じくらい、子どもの自尊心を打ちのめします。呪文とは、理由を知らされない謎のルールです。呪文を解くには、子どもに心の病気のことをわかりやすく伝える必要があります。でも、どうやって?
大丈夫、プルスアルハの絵本があれば、呪文は必ず解けます。
05.関連絵本
プルスアルハ著/ゆまに書房
・家族のこころの病気を子どもに伝える絵本
①ボクのせいかも…─お母さんがうつ病になったの─
②お母さんどうしちゃったの… ─統合失調症になったの・前編─
③お母さんは静養中 ─統合失調症になったの・後編─
④ボクのことわすれちゃったの? ─お父さんはアルコール依存症─
・子どもの気持ちを知る絵本
①わたしのココロはわたしのもの ─不登校って言わないで
②ボクの冒険のはじまり ─家のケンカはかなしいけれど…
③発達凸凹のボクの世界 ─感覚過敏を探検する─