「子ども情報ステーション by ぷるすあるは」精神障がいやこころの不調、発達凸凹をかかえた親とその’子ども’の情報&応援サイト

Q41. 毎晩暴れて、暴言、暴力、唾を吐きますーゆるゆる子育て実践編

Q41. 毎晩暴れて、暴言、暴力、唾を吐きますーゆるゆる子育て実践編
2022年11月8日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:毎晩暴れて、暴言、暴力、唾を吐きます。
年れい: 小学1-3年

質問内容

こんばんは。
小学校3年生男子、自閉症スペクトラム、境界知能の一人っ子の子育てをしています。
毎日同じ事の繰り返しです。
ゲームやYouTubeの事にしか興味が無く、やらなければならない事は全て後回し。切り替えがなかなか出来ず、思い通りにいかないと壁をけり、奇声をあげ、部屋に唾を吐き散らし、母である私を蹴り倒します。現在アパート住まいで、近隣住民の迷惑を考えて根負けしてしまう事が多々あり、更にワガママをエスカレートさせてしまっている気がしてます。このままではいけないと、来年春に戸建てに引っ越し予定ですが、暴れまくる毎日と、息子が出す騒音がご近所に迷惑を掛けている事を気にする毎日で非常にストレスを感じています。
夫も同じ特性があり、息子が騒ぐと怒り狂うので、夫に黙ってて貰うフォローも大変です。
最近は、全く1ミリも言うことを聞かないので途方に暮れています。
酷い事を言われたりされたりすると、私も自分をコントロール出来ず、泣きながら『あんた頭おかしい、もう一緒に暮らせない。』など酷い事を言ってしまい、自己嫌悪する日々です。
このままでは息子に悪い影響を及ぼしそうでどうすればいいかわかりません。
今すぐにでも自分自身が変わりたいですが、なかなか難しいと思っています。

 

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。
毎日この状態だととてもお辛いですね。お子さんにとっても相談者さんにとってもなかなか心が休まらない日々が続いているのではないかと思いました。すぐに解決というのは難しいかもしれませんが、少しでも楽に、過ごしやすくなるための方法を一緒に考えられればと思いました。

 

僕がこういった暴言や暴力などの問題がある親子に対してアドバイスする際には「まずは少し距離を置きましょう」というところから始めることが多いです。
このように提案すると「こんなに大変なのに距離を置くなんてできません!!」「もっとわがままになるんじゃないですか!?」とおっしゃられる方も少なからずいるのですが、実はこういった状況だとけっこう親子関係が煮詰まってしまっていることがあって、相互作用の中でエスカレートしていることがあるのです。暴言や暴力というのは慢性的で進行性なので、そういったことが起これば起こるほど、より暴力的になったり、激しくなったりします。なので、まずはそういったことが起こっていない時間を少しでも増やして、エスカレートすることを防ぎましょうとお話ししていて、よく「小康状態を作る」と説明しています。
なので、まずは準備を本人がしなかったとしても、暴言や暴力を起こさないことを優先していくことになります。準備を代わりにやってあげることも必要になりますが、これは一時的なことで「暴言・暴力を伴わずに準備をしてもらう」ための土台つくりをしていると考えていただければと思います。

 

距離をとる際の方法としては、物理的、時間的、言語的な距離をとることで、対人的な距離をとることができますと説明しています。ようは同じ場所にいない、関わる時間を減らすということで、声かけもあまり叱ったり、なだめたりせずに淡々とするということになります。普段の関わりが刺激になっていることが多いので、刺激を減らすためにそうするんだと思っていただけるとよいかなと思います。そうすると暴言・暴力が減るのと同時に「なんか変わったな?」ということがお子さんにも伝わってきます。
では、距離をとった後、相談者さんには何をしてもらったらよいのでしょうか?それは「相談者さん自身のセルフケア」をしてもらえるとよいと思います。親子関係が煮詰まっていると、それだけで心身が疲弊して参ってしまうことがあり、それがゆえに冷静に関わることが難しいということがあります。なので、まずは相談者さんご自身が回復して、少し余裕を持てるようにできると少し関わり方が変わって、相手も行動が変化してきます。ただ、今のところは小康状態を作ることが優先なので、とにかく相談者さんが自分の回復につながりそうだなぁと思うことがあれば、それをしてもらえるとよいかと思います。子ども情報ステーションのセルフケアのコラムやワークも是非参考にしてみてください。

 

それで一旦小康状態を作った後なのですが、しばらくするとこの状態にも慣れて、次どうしたらよいのだろうということを考える余裕が生まれてきます。もしそうなったら、次は「いいとこ探し」をしてください。でも、ここで肝心なのは、お子さんの「いいとこ探し」をするのではなく、はじめに「相談者さんご自身のいいとこ探し」をするということです。特にこんな大変な状況の中でお子さんやパートナーさんにいろいろと気を使われて関わっているので「私頑張っているな」「けっこうできているところもあるな」ということに気付けるようにしていくということです。それをしっかりとやってから、次にお子さんの「いいとこ探し」をしていくということになります。

 

相談者さんとお子さんの「いいとこ探し」がしっかりできたら(2週間くらいはそれに徹した方が良いと思います)、それぞれ今度は「プラスワンの働きかけ」について考えてみましょう。まず相談者さんのたくさんあるいいところの中で、お子さんに対するいい関わりを整理して、それにプラスしてさらにできるとよいことをひとつだけ考えてみます。大事なのはひとつだけにするということでふたつ、みっつだと大変になってしまうことがあります。なので、あくまで一つだけ考えて、それを実践するということになります。
またお子さんに対してもいいところを見つけられたら「さらにしてもらえると助かること」としてひとつだけ何かあるか考えてみます。この時大事なのは「今のお子さんでもできること」をひとつ考えるということです。ハードルを上げ過ぎてしまうと、上手くいかずお互いの失敗体験になってしまうことがあるので、無理なくお願いでき、お互いにちょっと良かったなぁと思えることが少し増えるということが目的になります。
上記のプラスワンに取り組んで、それが自然と当たり前のようにできてきたら、次のプラスワンに進むという感じで取り組んでいくと徐々にではありますが、少しずつ良くなっていくと思います。

 

取り組みは長いものになりますし、一進一退で時にうまくいかないこともあると思います。ただ方向性さえ間違っていなければ、いずれはよい形になっていくと思います。まだまだ人生はこれからで、良くなっていく可能性もたくさんあります。なるべく気楽に、ゆるゆると取り組んでいけたらなぁと思います。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

》質問一覧へ
》「ゆるゆる子育て」の目次へ

 

※子育てについての質問、募集中です

》質問フォームへ


 

毎月のメールマガジン「アルハ通信」で最新情報が届きます
サイト運営団体:NPO法人ぷるすあるは
》これまでのメールマガジンをみる