精神科[せいしんか]で長年はたらいてきた看護師[かんごし]のチアキが、精神科の受診[じゅしん]や治療[ちりょう]などの質問に回答するコーナーです。
質問タイトル:親が精神疾患だと子どももなりますか? 遺伝が心配です
年れい:中学生

チアキの回答
質問をありがとうございます。
遺伝のことを心配されているんですね。
遺伝のことを心配に思って質問をくれたり、ネットで調べたりしている子どもさんはたくさんいます。
このことについて、少しお答えしたいと思います。
精神疾患の遺伝について。
多くの一般的な病気と同じように、体質的な遺伝の影響はあります。
たとえば、糖尿病[とうにょうびょう]や高血圧など、親にこれらの病気があると体質がうけつがれ、子どももなりやすいことと同じようにとらえてもらうとよいです。
病気の種類によっても体質的な遺伝の影響の大きさはちがいます。統合失調症の場合は、人口のおよそ1%の人が病気になります。母親か父親か、どちらかの親が統合失調症と診断されている場合に、子どもも病気になる頻度は、およそ10%です。
精神疾患をふくめて、人の病気のほとんどは、多くの遺伝子と多くの環境との相互作用のなかで病気になる「多因子疾患[たいんし しっかん]」と呼ばれるものです。
この環境には、地域の環境、家庭内の環境、教育歴、友人関係のほか、遺伝的な因子以外のすべてのものがふくまれます。
まとめると、体質的な遺伝の影響はありますが、病気の発症には、いくつもの要因が関係します。
心身の休息を大切にする、不調を感じたら早めに相談する、ストレスがたまりすぎるのをさけるなど、日常生活の工夫が役立ちます。これらは親の病気の有無にかかわらず大切なことです。
そして、世の中、予測もコントロールもできないいろんなことがあります。それは自己責任ではないです。予防の視点は大切だけど…「病気があってもだいじょうぶな社会」はもっと大事だと思っています。
親が精神疾患だと子どもも病気になりますか?
ー「答えは「もしかしたら」です。
なぜなら、人はだれもが精神的な問題をもつ可能性があるからです。
親が精神疾患をもっている人は、他の人よりもストレスからの影響を受けやすいことはあるかもしれません。
でもそれは、必ず子どもも精神疾患をもったり、そのことに対して何もできないということではありません。」
引用:Familien-Selbsthilfe Psychiatrie(BApk e. V.) und BKK, 田野中恭子訳, lnformationen für Jugendliche, die Psychisch kranke Eltern haben, ドイツ, 2009

チアキ
関西→関東、精神科ひとすじの看護師。
ぷるすあるはの制作担当、絵本ではお話と絵を担当しています。



