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Q60.不安や緊張ーゆるゆる子育て実践編

Q60.不安や緊張ーゆるゆる子育て実践編
2024年4月22日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル:不安や緊張
年れい: 〜就学前

質問内容

 

3歳になる娘がいます。
1月から満3歳児クラスで幼稚園へ入園しました。
もともと人見知りがあり、不安と緊張で先生のお隣で過ごしていました。
3月初旬に唾を溜めこむようになったと先生から報告をうけました。
飲み物で一緒に飲み込むか水道に吐き出して対応をしてくれてました。
中旬頃からはお家でもその症状が出始め、娘が『ごっくん』と言い、私が『ごっくん』と返事すると飲み込みます。
私以外(パパでも)飲み込みません。
飲食は通常通りできています。

市の3歳児健診ではお家でもよく喋るし今のところ発達には問題がないけれど緊張や不安の強いお子さんですと言われました。

春休み中も症状が続きましたが、気持ち的にはとてもリフレッシュしている様子ではありました。
しかし4月になり幼稚園がまた始まると、幼稚園では飲み物拒否や水道に吐き出すことも拒否。ずっとお口に溜めて限界が来るとお口から溢れるそうです。
数日前から幼稚園でだけ、足首が固まりつま先で歩くことがあると報告を受けました。
お家や公園へ遊びに行ってもそのようなことはありません。
水分もとれていないのでしばらくは午前保育でお願いしていますが、無理させすぎているのでしょうか…。一過性のものなのか…。
すごくストレスがかかっているのかと思うととても心配です。

 

おがてぃの回答

 

ご相談いただきありがとうございます。
幼稚園に通うようになってから、唾を溜め込んだり、つま先で歩くなどの行動がみられるようになったのですね。そういったことがあると、それは親としてとても心配になるだろうなぁと思いました。今回ご相談いただいた内容だけだと何が要因かまではなかなか判断するのは難しいのですが、今できそうなこと、考え方のポイントについて少しお伝えできればと思います。

 

まず、お子さまがもともと不安や緊張が高いお子さまであるということが記載されていました。それは3歳児健診でも指摘されているようなのですが、そもそもどのようなことに不安や緊張が高いお子さまなのでしょうか?
初めて会う人や場所に対する不安や緊張であれば、慣れていけば少しずつ緊張や不安も和らぐかと思ったのですが、人と会う度に常に緊張しているとか、人がたくさんいるとかにぎやかな場所だと緊張するとかだと、幼稚園という環境は他のお子さんもいるのでなかなかなじめないということもあるかもしれない…と思いました。
なので、まず、そもそもどのような場面で不安や緊張を感じやすいのかについて改めて振り返ってみるということは、できると良いかなと思いました。そして、できそうなら今までその不安と緊張にどのように対処してきたのかも併せて振り返ることができると、少しお子さまにとっての良い関わりが見つけやすくなるかもしれません。

 

次に、幼稚園でどのような活動がお子さまにとってストレスになっていそうかを、考えることも大事かと思いました。
今回、相談者さんは、唾を溜め込むことやつま先で歩くなどの行動は、幼稚園での何らかのストレスが影響しているのではないかと考察されていますが、幼稚園でもいろいろな活動や様々な人との関わりがあるので、それらの何がどのように影響しているのかを知ることは、お子さまのストレス軽減につながるかもしれません。
僕が今まで経験してきた中でも、保育園や幼稚園にまつわる悩みはかなり幅が広く、また幼稚園とひとくくりに表現はしますが、本当にいろいろな考え方や教育方針が幼稚園にはあるので、その園の雰囲気によってもだいぶお子さまにかかるストレスは異なるのではないかと感じています。
また、園自体の活動よりもそもそも登園自体に苦痛を感じていたり(バスの送迎がダメというお子さんもいました)、クラスの先生やお友達との関係が嫌だったり、制服が嫌だったりと、かなり多種多様な悩みの話を聴いてきましたので、そのストレスが何に起因しているのかによって、対応の仕方もだいぶ変わってくるのではないかと思いました。
もしよろしければ、改めてお子さま自身に聞いてみたり、クラスの先生等にも確認してみて、お子さまが苦手にしていることがなんであるのかについて検討してみるのも良いかと思います。

 

3つ目に考えられるとよいこととしては、お子さま自身のことについてです。
はじめに不安や緊張が高いと伺っているので、どのような場面でそうなりやすいのか検討すると記載しましたが、そもそも緊張するということは何か過去にイヤな体験をしていたり、そもそも何が起こるのか見通しが持てなくて怖かったり、自信のないことに取り組まなくてはならないような場面などがあるということかと思います。
だとすれば、どんなことが怖かったり、嫌な体験となっているのかを知ることが大事なのですが、意外と大人側からするとそれを発見するのが難しかったりします。それは大人であるがゆえに大したことがないと見過ごしていることもありますし、いわゆる感覚過敏等がある場合にはその感覚に共感しにくかったりするからです。
なので、改めてお子さまのご様子をよく観察してみて、どのようなことは楽しめるけど、どのようなことに関しては不安そうな顔をしているか、あるいは楽しめていないかをよく見てみると、お子さんに対する理解が深まるのではないかと思いました。

 

上記のように3つの視点から、まずはお子さんやお子さんを取り巻く環境について良く知ることから始めることについてお伝えをしました。こういった行動は時間の経過とともに良くなっていくことが多いのですが、時々長くかかる場合もあるので、その際には相談機関や医療機関などを受診して、改めてお子さまのことをよく知る機会をつくれるとよいかと思います。
すでにお子さまのことをよくみてくださっている相談者さんなので、あらためて観察したり、振り返ったりすること自体は無理なくできるのではないかと思っています。ただ、一方であまり心配し過ぎてしまうと、今度はその相談者さんの心配な気持ちがお子さんに影響を与えてよりストレスになってしまうということがあります。なので、ゆるゆるのスタンスを忘れずに、ほどほどに経過をみながら判断していくというくらいの感覚で取り組んでみていただければと思います。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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