ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。
質問タイトル: 正しいことをしないクラスメイトを許せない、娘
年れい: 小学4-6年
質問内容
以前も、姉の学校での対人関係に関することご相談させていただきました。
正しくないことをしているクラスメイトに腹を立て、低学年のうちは乱暴な物言いで注意。
3年生では、いろんな子がいるというのを理解して、注意してまわるのは減り…
4年生では、言われた相手はかなりの嫌な気分しか残らないような、注意もひかえている様子。
「現状ではまだ、お友達がなぜ自分の思う正しいことをしないのかすぐに理解するのは難しいのかなと思いました。」とのアドバイスを頂き 私は〇〇されて嫌だった、という練習もしています。
しかし、相変わらず掃除の時間に 掃除をしない子・してるふりをする子・する気もなく喋っている子に腹を立ててかなりのストレスを感じている様子です。本人のイライラ具合を小4の女子達は察知し「こわ〜い!」などとヒソヒソされているようです。
今までと同じようにいろんな子がいて当たり前・自分の家の普通が皆んなの普通じゃないよ。と、話しています。中でも気にかかるのが、してるけど娘の思う通りの手順などで正確に清掃できない子にまで不満を言っていたり、遊びに来た妹の友達が座っておやつを食べない事に腹を立て注意をして相手が聞かないと(プール、夏祭り、お菓子作りなどの手間のかかる遊びで友達を家によんだ後の掃除機床拭きテーブル拭きなどの掃除・片付け・夕食の皿洗い・布団の準備・洗濯干しは、私も全力で友達の対応をして頭がしゅわしゅわして目一杯で動けない為、友達が帰った後の片付けは娘2人と自分の3人で家を元の状態にリセットして就寝します)、「後で私達がしなきゃいけなくなるんだから!座って食べてよ!」とものすごく怒りだし、みんなが遊んで騒いでいるのに掃除を始めようとします。
「どうせまた散らかるから後でいいよ、いろんな子がいるんだよ、今日は家だけど教室と一緒だよ、言っても聞かない子いるんだから今掃除しなくていいよ。」「私もさっき床拭いたし大丈夫だよ、みんなびっくりするからやめて。」といっても、一人で泣きながら別に部屋にこもってしまいます。
こぼした足で家中走り回って汚れるから 嫌がってる。
自分の負担が増えるから 嫌がっている。
という気持ちはわかりますが、ここまで追い詰められて相手を責め立てる気持ち。
私がひとりで全て片付ければこうならなかった・できない事無理に頑張って後片付けを娘達に頼ってしまった部分もあると感じ、どうしたらいいか、何と声かければいいのかわかりません。
私たちはどうしていけばいいでしょうか?
おがてぃの回答
メールをいただき、ありがとうございました。
前回のコラムも読んでくださったのですね。( 》Q25. ADHD、自閉スペクトラムなどの母親です、姉妹の学校生活、対人関係の心配について )
前回から引き続き、片付けや掃除に関して、ご自身の気持ちを周囲に理解してもらいたいという気持ちが強くて、トラブルになってしまう、そしてそのことがお子さんにとっても相談者さんにとっても辛いという状態なのですね。
こういったことが頻繁に起こってしまうと相談者さんもどのように日々関わったら良いのかと大変悩まれているのではないかと思います。いただいたメールの文面だけでは、要因や解決方法をしっかりと検討することが難しいのですが、ひとまず今回教えてもらった情報をもとに僕自身だったらこう対応していくということをお伝えしていければと思います。
1.「気持ちを受けとめる」体験を提供する
もし、僕がこのお子さんと関わっていくのであれば、まずは「お子さんの気持ちを受けとめる」という体験を提供するところから始めるかなぁと思いました。なぜかというと、気持ちを受け止められる体験をお子さんが積み重ねることで、お子さんの気持ちの余裕が生まれることがあるからです。
人は自分自身の気持ちを受け止めてもらえた、わかってもらえたという体験をすると、それがストレスの軽減になったり、またうまくいかない時でもまたチャレンジしてみようという前向きな気持ちになったりします。
お子さんにとっては汚れや掃除、片付けがどうしても気になってしまう自分自身のこだわりポイントなので、それを我慢してくださいというのは、なかなかお子さん自身にとっても大変な作業なのだと思います。
なので、それを達成できるようにするためには、そもそも他のことはストレスになっていないか、他の部分はしっかりと気持ちを受け止められ、それなりに対処できるようになっているかを確認しながら、大変な作業をするための準備をしていくような関わりをしていくかと思いました。
2.達成感のある関わり
上記のような関わりをした上で、お子さんが相手の掃除や片付けに関連することを気にしないでいられた、あるいは気にしたとしても自分の言動を相手にぶつけなかった際には、なにかポジティブな対応をお子さんにわかるようにするかと思います。直接的に褒[ほ]めたり、ハイタッチをしたり、ハグをしたりなど、お子さんが大変だと思っていることができたら、一緒に喜ぶというような対応です。
なぜそういうことをするかということ、お子さんにとっては大変なことなので、それを頑張った後で何か良いことがないと、それを続けよう、もっと取り組もうというモチベーションが続かなくなってしまうからです。
実際にお家の中でお子さんが相手に言わずに我慢したり、別の手段で伝えたりする行動が取れた際、相談者さんはどのように関わっているでしょうか? 少し関わりを変えるだけでももしかしたら効果があるかもしれません。
3.ハードルを下げる
自宅では、そういった行動(相手に言わずに我慢したり、別の手段で伝えたりする行動)は見られないという場合には、少しハードルを下げたり、手伝ったりします。
例えば今回はご自宅でのエピソードが話されていますが「お友達が来たとしても30分以内にしてもらう」「お部屋はこの部屋以外では活動しないようにする」「手間のかかる遊びは自宅ではしない」などして、汚れたり、片付けをする範囲を減らして、その上で自分を抑えることができるかということにチャレンジしてもらい、それでうまくいったら先ほどのようにポジティブな対応をするという関わりをするかと思います。
また、ハードルを下げる際には「そもそもお子さんの言っていることは間違っているのか?」ということを改めて話し合うかと思います。
誰だって汚されたり、自分が後で片付けなくてはならないのに散らかされたら、嫌なものです。でも、それで相手にどなったり、大きな声でしつこく注意するとトラブルになってしまうので、嫌な気持ちを受け止めつつ、自分の行動自体はどうするかということを話し合うのだと思います。
もしかしたら「だってママも昔は私にいっぱい注意したじゃん!」と言われてしまうかもしれません。その場合は「確かに言った。それは言い過ぎだった。」と誠実に受け止めつつ、「ただ、今は困ってしまうので、私自身の行動も改めるから、一緒に違う行動が取れるように取り組んでいこう」という話をしながら、今どのくらいだったらできそうかという適切なハードルを考えたいと思います。
4.こちら側も気持ちに余裕を持つ
そして、最後になりますが「基本的に無理はしない」ということを生活の中で心がけることも大切ではないかと思っています。
相談者さんが「私も全力で友達の対応をして頭がしゅわしゅわして目一杯」となっているように、家族全体で余裕のない過ごし方をしているときにこそ、トラブルは起こりやすいのだと思います。
お友達付き合いなど様々な背景があると思うので、コントロールが難しい部分もあるかもしれませんが、なるべく気持ちの余裕が持てるような生活のペース配分をしていったほうが、相談者さんにもお子さんにとっても過ごしやすいではないかと思います。
正直なところ、上記でお伝えしたような対応は関わる大人側に気持ちの余裕がないとできません。こちらがいっぱいいっぱいだと、それが必要なのがわかっていても、余裕のなさからついお子さんを注意してしまうことが増えてしまうのです。なので、全力でやらなくてもすむように、生活のペースやお友達との過ごし方を少し配慮できると良いかと思いました。
いかがだったでしょうか? 今回のメール内容からお子さんが年齢と共にできること、相手にも都合があることを理解していっていることがよくわかりました。それは成長の証だとも思います。お子さんにはお子さんの成長ペースがありますので、それに合わせて大人は関わっていけると良いかと思います。
学校でのトラブルに関しても、心配であれば担任の先生をはじめとする学校の方々と話し合いながら、お子さんの成長をどう見守っていくか検討できればと思います。