ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。
質問タイトル: 子育てが辛いです。
年れい: -就学前
※個人情報がわからないように質問を少し短くしています
質問内容
6歳と4歳姉弟の母です。私には発達障害(ADD)があります。下の子は去年、知的障害中等度と診断されています。現在夫とは離婚を見据えて別居中で、親に頼って実家に住まわせてもらっています。実家には父と母、私の弟が住んでいます。
姉弟2人ともかんしゃく持ちで辛くなります。弟は療育から帰宅するとほぼ毎回大泣きで暴れます。なぜかんしゃくが起きるのか、お腹がすいているのかなのか、眠いのか、判断ができず苦しいです。身長の割に体重が重いので(92cm/20kg)、抱っこするのもしんどくて辛いです。3歳過ぎてから歩き出した為か、まだ体幹が弱く走ることも出来ません。歩いても、すぐ「抱っこ!」疲れました。
姉は最近ことばが達者になって、一丁前に私と喧嘩します。私と性格が真逆で、物事の核心をつくというか…考え方が年齢に対して大人っぽく、まるで大人と話しているような感覚です。
今日も喧嘩してしまいました。寝る前に音楽をかけて寝たい!という娘に対して、私はそんな気分ではなかった。それだけなのに「うるさい!いい加減諦めろ!黙れ!」と叫んで、イライラしながら寝室を飛び出して薄暗いキッチンに逃げ込んで今この文章を打っています。
私は子育てに向かなすぎる…。
でも、やめるわけにはいかない。
夫には子供を渡したくない。わがままですよね。
どうしたらいいんでしょうか。
ただ、早く楽になりたいです。
早く、子供が大きくなって自立して欲しい……。
おがてぃの回答
メールをいただき、ありがとうございました。
読んでいて、今とてもお辛い状況であることがひしひしと伝わってくるようでした。お子様をふたり育てている中で、なかなか思うようにいかず、おひとりでご苦労されているのではないかと思いました。
また、かんしゃくがひどくて大変であったり、少し大きくなってきたが故の悩みが生じて「どうしてもっと素直にいうことを聞いてくれないのか」「なぜもっとわかってくれないのか」「私の対応が悪いからこんなになってしまうのではないだろうか」など、いろいろ考えてしまうとより苦しくなってしまっているのではないでしょうか。メールをくださった相談者さんご自身にも発達障害(ADD)があるとなると、なおさら大変さがあるのではないかと思います。
お子様のかんしゃくについて、すぐにぱっとおさめられるような何かをお伝えできれば良いのですが、現状では何が要因となってそうなっているのか、相談者さんにもわからないようですし、僕の方でもメールの文面だけでは何がどう影響しているのか判断がつきませんでした。なので、何が要因かということをお伝えするのではなく、こういった時どんなところから取り組んでいけると良いのかについて少しお伝えできればと思います。
僕のところにこういった相談でこられた方と、まず話し合うこととしては、「かんしゃくが起きてない時はどんな時でしょうか?」ということを教えてもらうところから始めています。
かんしゃくが起こっている時、その理由がわからないので逆に「どういった時だったら落ち着いているのか」ということを教えてもらい、いくつか出てきたエピソードの中から共通するところを探していく、つまり「成功パターン」みたいなものを見つけ出していくという対応になります。
これは下のお子さんだけでなく上のお子さんも同様で「どういった時は喧嘩にならないやりとりができるか」「どういった時はお互い楽しく過ごせているか」ということを教えてもらい、解決のヒントを探していくようにしています。
ときどき「そんなの覚えていません」「落ち着いている時なんてありません!」とおっしゃられる方もいるのですが、その場合は「じゃあ次の面談の時までに本当に1回もないかどうか、少し観察してメモしてきてください」とお伝えして、次の回で検討するようにすると、どこかでは落ち着いて過ごせた時間があるので、それをまた参考にしていきます。相談者さんももし良ければ、まずはかんしゃくをどうするかというよりも、かんしゃくが起きてない時に何が起こっているのかを振り返ってみると良いかもしれません。
ふたつ目に取り組むこととしては「親御さんの方にも休憩が必要で、手抜きが必要です」ということをお伝えしています。
子育ては本当に大変な作業なので、どこかで休憩をしたり、手を抜いたりしないと、どうしても親子の関係が悪くなります。相談者さんのようにお一人で孤軍奮闘されている状況なら、なおさらそうなってしまうことがあるのではないかと思いました。
また、現在ご実家で弟様にも気を使われ、別居されているパートナーとの親権にまつわることなどもあると、身体的にだけでなく、こころも疲れてしまうのではないかと思います。
そのため、日々のセルフケアが大切になってくるかと思います。
ストレスは毎日の積み重ねて大きくなっていくので、なるべくその日のストレスはその日に発散できるようしていけると良いです。ちょっとしたことでかまいません。好きな紅茶を飲む、外に出て空を見上げる、大好きなアイドルの写真を見るなど、ご自身がちょっとうれしくなる、気分がよくなることを日々の生活の中に取り入れられると良いかと思います。子ども情報ステーションのHPにハッピーリストという小さな楽しみを見つけるためツールがあるので、良ければご参考ください。
合わせて、日々の生活の中でどこだったら手が抜けそうかも考えられると良いかと思います。
いろいろうまくいっていないときというのは、今の生活のペースが相談者さんやお子さんたちに合っていないということがあるかもしれません。もう少しペースを落として、完璧でなくて全然良いので、少しでも笑顔でいられる時間を増やすという考えを持てると良いかと思います。手を抜くのは、どこでも構いません。家事であれば、料理を出来合いのものを買ったり、レトルトにしても良いです。洗濯や掃除だったら、回数を減らしてもいい。1日だらだらと過ごす日があっても良いかと思います。また、歩いてくれないのであれば、その都度休憩でも良いし、ベビーカーや自転車など別の手段を使っても良いと思います。
それでは生活が回らない…ということであれば、その生活の方のペースを落とし、1日にすることを減らしていくという視点もあると良いのではないかと思いました。
それでは周囲の人から文句を言われるのではないか、親としての務めを果たせていないのではないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば、かんしゃくひとつとっても、お子さんにはお子さんの理由があってかんしゃくを起こしており、親だからといってそれを完璧にコントロールすることはできません。それと同じようにお子さんの日々の生活をすべて親が完璧にコントロールすることはできないのです。なので、無理なくできる範囲でしていくという姿勢が持てると良いのではないかと思います。
いかがでしょうか。「私は子育てに向かなすぎる…」「でも、やめるわけにはいかない。」という葛藤は相談者さんにとってとても辛いことかと思います。そのお気持ちを僕がすべて解決することは難しいのですが、でも、そうやって悩まれていること自体は子育てと、お子さんとちゃんと向き合っている証だとも思います。どうか、あなた自身も大切にして、お子さんたちと日々の生活を少しでも楽しいものにしていってください。
今回のコラムがちょっとでもあなたのお役に立つことを願っております。