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Q27. 学校生活の心配 ーゆるゆる子育て実践編

Q27. 学校生活の心配 ーゆるゆる子育て実践編
2021年6月7日 office

ゆるゆる子育てを担当している公認心理師・臨床心理士おがてぃが、子育ての相談に回答するコーナーです。

 

質問タイトル: 学校生活
年れい: 小学1-3年

 

質問内容

はじめまして。
小学2年生の男児の母です。
集団登校のため、私が集合場所まで送っています。
1年生のときは大丈夫だったのですが、2年生になってから、集合場所から学校に出発する際、私と離れられなくなり、集団登校の後ろの方から親と学校まで行っています。
学校についてからもグズグズし、そのとき近くにいる先生に手を引かれ、登校しています。
本人は「心配~」と言って、グズって泣きますが、何が心配かは言いません。
また私も分かりません。
今後どのくらい続くか分からず、私も参っております。
今後どうしていったらいいかアドバイスをいただけると幸いです。
よろしくお願い致します。

 

おがてぃの回答

 

メールをいただき、ありがとうございます。メールを読んで、お子さんがなかなか学校に登校できず、朝から学校まで付き添うとなると大変だろうなと思いました。
相談者の方と離れられなくなった経緯の詳細がわからないので、いくつか可能性のありそうなことと、それらへの対応について書いていければと思います。

 

1.現在の学校環境に対する不安

 

2年生になってからということで、学校に関連する変化などは何かありましたでしょうか? 担任の先生や同級生、教室や授業時間、あるいは内容など様々な変化がお子さんにとっての不安・心配になっている可能性があります。
もし、この学校環境の変化が不安になっているとしたら、対応方法としては「説明をする」ことと「お子さんに合わせた関わりをしてもらう」の2点かと思います。
変化が生じているけれども、お子さんが心配するようなことは何もないことを説明し、実際に態度や関わりで示すことが「説明する」となります。
授業内容が理解できない、先生の指示が分かりにくい、授業中、集中していられず、ストレスがかかっているなど、学校生活や授業に関わることですと、もう少しお子さんに合った関わりや配慮が求められるので、担任の先生と少し連携しながら、何がどう工夫できると良いか検討してみると良いかもしれません。
最近ですと小学校にはスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと呼ばれる相談員がいる場合もありますので、そちらの方に相談してみるのも良いかと思います。

 

2.過去の学校環境に対する不安

 

昨年の今頃は、緊急事態宣言がようやくあけるかどうかという時期で、学校に限らず社会全体としてかなり落ち着かない、ストレスフルな状況でした。学校での過ごし方もかなり変更の多かった時期でもあります。
そんな頃に新入生になって学校に通うようになったということはお子様にもストレスが関わっていた可能性があります。その頃の大変だった過去の体験を思い出して、辛くなっている・不安を感じている…という可能性があります。大きな地震にあったお子さんが、その地震があった頃や小さい地震でとても不安を感じやすくなるのと似た反応だということ
です。
対応としては「安心感を与える関わり」ということで、過去大変だったということを共有し、今は昨年ほどは大変ではないこと、今後ワクチン摂取などが進んでいけば、今よりは安定した生活になるということを説明して、お子さんが好きな活動などをしていけると良いかと思います。

 

3.家庭内の変化に対する不安

 

学校に通うときに行動が現れるので学校が要因かと視点が行きがちですが、ご家庭の方に不安があっても同様な不安が現れることがあります。家庭内の環境変化はなかったでしょうか? いわゆるDVなどのように大きなストレスでなくても、例えば弟・妹が生まれるなどの家族関係の変化や保護者の方のお仕事の変化(出世・配置換え・転職・在宅勤務への
切り替えなど)、祖父母の介護や生活リズムの変化などによって知らず知らずのうちに不安を感じていることもあります。
対応としてはお子さんと一緒にいる時間を少し増やしたり、かかわる際に意識して楽しくできるようにしたりして、環境の変化があったとしても親子の関係は変わらないということをお子さんに体験させてあげることです。時々、家庭内の環境変化(特にネガティブな変化)を「僕のせいでこうなったのかも…」と誤解しているお子さんもいるので、その場
合はそうではないことを説明してあげられると良いかと思います。

 

4.登校班の問題

 

登校班での登校自体に慣れない・不安を感じているという可能性もあるかと思います。わかりやすくいじめてくる、からかってくるお子さんがいなくても、そもそも様々な年齢のお子さんのいる集団の中で、一緒に移動すること自体がストレスに感じるお子さんもいます。登校班は周りが騒がしかったり、自分が注意されたりといろいろなことが思いの外起
こるからです。特に親しくしていた・仲良くしていた6年生が卒業したり、登校班自体の雰囲気が変わったりすることで、嫌になってしまうことがあります。
対応としては、しばらく登校班で一緒に同行し、お子さんが思うほど悪いことが起こらないということを体験した後で、少しずつ一緒に行く距離を減らしたり(学校に行く途中まで付き添うなど)、週3日に減らしたりするなど段階的に慣らしていけると良いかと思います。

 

5.睡眠や生活リズムの課題

 

朝起きることがそもそも苦手だったり、生活リズムが整っていなかったり、睡眠がよくとれていなかったりすると、朝はどうしても気持ちが落ち着かなくなります。小さいお子さんが眠くてぐずってしまうのと同じような理屈で、朝が嫌になってしまうということです。対応としては生活リズムを整えることなのですが、最近は外出自粛ということで運動不
足から睡眠がよく取れないというお話も聞くことがあります。日常的に体を動かしたり、朝日を浴びたりする習慣をつけていくことで、状況が少し変わるかもしれません。

 

いかがでしょうか? 思いつくものをあげましたが、その他の問題があったり、複数のことが影響している可能性もあります。相談者様だけで考えると見逃してしまうこともあるかもしれないので、身近な人や先ほどあげた相談員などに話をしながら、どんなことが影響していそうか少し考えていけると良いかと思います。

おがてぃ
普段は民間企業で心理職として仕事をしています、3児の父です。
公認心理師。臨床心理士。

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