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[参加レポート] 精神的不安定さを持つ養育者の元で育つ子どもへの理解と支援ー支援者研修—基礎講座—

[参加レポート] 精神的不安定さを持つ養育者の元で育つ子どもへの理解と支援ー支援者研修—基礎講座—
2018年7月1日 pulusu

平成30年6月30日(土)
親&子どものサポートを考える会
主催の講座に参加しました。@鈴鹿

 

子どもをサポートするために必要な知識、情報が、多職種スタッフからの網羅的な講義4本にぎゅっと盛り込まれていて、そして、地域のネットワークづくりもかねて、プログラムの最後にグループワークがくまれています。
今年で6年目、申し込み多数で定員越えるのだそう。全国に、こういう取り組みが広がったら…と思いながらお聞きしました。

 


プログラム

1. 精神的不安定さを持つ養育者の元で育つ 子どもの特徴・関わりの留意点  土田幸子さんより(鈴鹿医療科学大学看護学部・准教授)

2. 精神障がいの日常生活への影響  鈴木大さんより(精神科医師)

3. 地域生活を支える様々な支援ー社会資源の活用—  和田正子さんより(精神保健福祉士・保健師)

4. 園・学校・地域でできること—事例を通して見えてくることー  北川睦さんより(スクールカウンセラー・臨床心理士)

5. グループワーク


以下、それぞれのパートから、いくつかのスライド内容やキーワードをあげました。

 


1.子どもの特徴・関わりの留意点

成人した子どもの立場の方へのインタビュー調査の結果・声をベースにしながら、子どもの方の体験と必要な支援について。

(親が精神障がいという)同じ状況にありながらも、症状に巻き込まれずに育った子どもは?

・親の障がいについて説明を受けていた …障がいについて、対応について
・親自身がオープンだった(まわりい頼る姿を見せていた)…子どもも隠さなくていいと学ぶ、支援を受ける姿を自然にみておくと、自分も、なにかあったら頼っていいとわかる
・他の家族員・教員などのサポートがあった
・障がいを持つ親と情緒的交流が持てていた(境界が保たれていて、子ども個人を尊重したかかわりだった)

<さらに文献より>
・家庭外の興味の対象
・子どもらしい生活


 

2.精神障がいの日常生活への影響 精神障がいの親と暮らす子どもたちの理解のために

症状について、医学的な説明と具体的に日常生活にどのような影響がでるのかの説明。例えば…家事のひとつ・炊事にはたくさんの手順があって複雑な営みであることを実感。具体例から、支援者の役割と対応のポイントのはなし。

 

「しない」のではなく「できない」のかもしれない? の視点の切り替え

「…精神症状、認知機能が障がいされることにより、日常生活を送る上でさまざまな困難が生じる。わかりやすい症状だけでなく、まわりにも、そして本人にも自覚しにくい症状がある。」

「診断(病名)は、治療には有用かもしれない、制度の利用には必要かもしれない。しかし、その人の全体像は説明できないし、すべて治療(薬)でなんとかなるものでもない。症状も、困る症状とそうでない症状がある。しかし困りごとの背景に何か症状があるかもしれない。」

それまでに、さんざんまわりの人に責められていたりしている。
支援者にまで責められたら相談できるわけがない。

「日常生活をみる。混乱を整理し問題に対処する方法を探す手伝いをする。できること・強みを探しながら。」

 


 

3.地域生活を刺させる様々な支援ー社会資源の活用

精神疾患・精神障がいを理解すること、相談先や福祉サービスなどの情報を必要としていて、社会全体で支えていく必要性があること。
エンパワメントとストレングスの話。

自分自身の好きなところ、自慢できるところ、長所を記入する…という個人ワークもありました。大事。


会場の一角には情報コーナーも。

 

4.園・学校・地域でできることー事例を通して見えてくること

数値などを通して、子どもさんやご家族の状況状態を理解。事例を通して、生活の場での具体的な支援をイメージ。ワークを通して、それぞれの陥りやすい課題点を実感。のじかん。

 

心的外傷後成長を支える対応例

・何気ない日常会話や大げさでない存在承認(例:笑顔の挨拶)
・子や家族が持つ力や資源への気づきとフィードバック(自尊感情の構築)
・陰性感情や体験談に、動じない覚悟
・親を否定しない姿勢
・大人の代替モデルの提供
・子の安全・安心の確保と、育ちの保障
・病気の知識、社会資源などの情報提供
・大人同士の良好な関係、協働姿勢

以下、印象に残ったことば。

・思い込みをはずす。
・対立は、子どものための熱い議論と意味づけて、未来方向のベクトルにかえる。
・小さくても、それぞれができることがある。そのときには変化はみえなくても、無力と徒労ばかりに思えても、地域で、多機関で、長期的に。
・ネットワークがなければ最初は人と人から。
・連携は首のすわってない子を丁寧に手渡すイメージ。

長期間地域でかかわっていく中で子どもたちが変わっていく事例のお話も印象的でした。


 

5.グループワーク

グループワークでは、参加者の方の声をお聞きして…子どもの支援の話なのだけど、先生方(支援者の方)のニーズは、保護者へのかかわりが多かったです。
先生方がサポートされる、先生方の成功体験がある、先生方の相談先があること…そんな必要性も感じつつの会でした。

現場の困り感

(誰が何に困ってる?を整理 子ども・保護者・支援者…の困りごとは同じではないかも)

アイデア・ヒント

秋には、実践編も開催されているそうです。

 


ずっと、参加したいと思いながら….ようやく実現。
講義の内容、参加者の方の声…学びになりました。今後の発信、制作に生かしていきます。
スタッフさんのチームワークの良さもネットワークのモデル、と感じました。
親子の応援、こういった取り組みが広がったらと思いますし、いっしょに広げていけたらと思っています。ありがとうございました!

 

リンク
》親&子どものサポートを考える会