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書籍紹介5『もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?』

書籍紹介5『もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?』
2016年12月18日 pulusu

おがてぃです。もう12月ですか…今年もあっという間だったなぁ。
今年最後のコラム、書籍紹介コラムの5回目となります。
今回ご紹介するのは大人の発達障害者に関する書籍で

『もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?』
田中康雄著,すばる舎,2011

 

発達障害の臨床をしているなら知らない人はいないかもしれないと思うほど有名な田中康雄先生の書籍。数ある中でどうしてこれをピックアップしたのかというと… ずばり

当事者応援書籍

だからです!

ここ最近になって、大人の発達障害に関する書籍はだいぶ書店などで見かけるようになりましたが、この本が出版されたのは5年前で、当時はまだそれほどたくさんあるわけではありませんでした。

読んだ時には目からウロコ。自分が普段の仕事で感じていることがそのまま整理され、さらにアドバイスをいただけているような印象でした。

大人の発達障害についてかなり幅広く網羅されています。
大人になってからわかる発達障害の特徴や気づきのポイント、診断の意味、治療に対する考え方、その後の対処法まで… それらが平易で丁寧な言葉で記述されています。
また、イラストも可愛らしく、メモの取り方やスケジュールの仕方などがイメージしやすく工夫されています。
さらには発達障害のプラス面にも触れていて、これだけしっかり書かれているのに読みやすくてそれほど厚くもないという…たぶんそれだけ要点がしっかりとまとまっている書籍なんだと思います。

そしてこれは意図されたものなのかどうかはわからないのですが…
全体的に余白が多い!
これはとても良い工夫で、発達障害の当事者の方への配慮なのではないかと実は思っています。字がたくさんあると、どこを読んだらとよいのかわからなくなってしまうという方も多いので、ひと単元ごとにまとまりを作って間を空けているのは、とても読みやすい配慮だと思います。

また、この本は当事者への「困り感」に沿って書かれており「うん、うん、そうだよなぁ」と思うところがたくさんあります。
発達障害の特性や困るポイントについて書かれている書籍はたくさんあるのですが、当事者の心情についてしっかりと触れている書籍は案外少ないと思っています。
エッセイ風のマンガなどだと当事者や家族がマンガを描いているので心情に触れられていることもあるのですが、この本ではその心情に触れながらも対処法やどのように考えたらよいのかをわかりやすく丁寧に説明されています。

この本の最後に、発達障害の方の支援について

「支援してあげる」「支援してもらう」ではなく、「共に生きる」

と記述されています。発達障害の方が特別な存在と認識されるのではなく、その人の生まれ持った特性として当たり前のように認識され、共に生きていけるような、そんな風に社会がなっていけると良いなと思います。