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書籍紹介4『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』

書籍紹介4『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』
2016年10月12日 pulusu

おがてぃです。すっかり秋らしくなってきましたね。紅葉を見に行けると良いなと思いつつ、ここ数年行けていません。今年は行けると良いなぁ…さて、紅葉とはまったく関係なく、書籍紹介コラムの4回目となります。

 

今回ご紹介するのは、子どもの発達障害に関する書籍で…

『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』

藤野博/日戸由刈先生,講談社[健康ライブラリーシリーズ],2015

 

今回も健康ライブラリーシリーズからになります。なんだか紹介する本がこのシリーズにばかりに偏っていてバランス的にどうかなと書いていて思いましたが、でもこの本はとても紹介したかったので紹介します。それはなぜかというと、発達障害の支援の中に「レジリエンス」という視点が取り入れられているのが斬新だったからです。

 

さて、先ほどから何度か出てきている「レジリエンス」という言葉。日本語だと「回復力」とか「弾力性」という意味があり、精神医学や心理学では特に「心の回復力」という意味でよく使われます。
自尊心とどう違うのか?とときどき質問されますが、何か成功体験をして自分に価値があると思えるのが自尊心、

失敗した時に自分を信じたり、周りに頼ったりして、タイトルにあるように「立ち直る力」となるのがレジリエンス

だと理解すると、だいたいあっているかなと思います。
「だいたい」と書きましたが、「レジリエンス」という概念の定義が研究している人によって少し違かったりします。なので、大まかにそういう概念だと理解しておけるとよいかなと思います。

 

この「レジリエンス」が大事だと思ったのは、僕の今まで相談を受けてきた経験によるところが大きいです。僕が発達障害に関連する相談を受ける時は、不登校や家庭内暴力といった問題が生じている人が多いです。そして「僕が悪いんじゃない」「◯◯が悪いんだ!」と他責的になっている人が少なからずいます。そんな時、周囲の人は「それはわかるけど、そうは言ってもしょうがないから自分のできることをして立ち直っていこうよ」と思うのですが、なかなかそう思ってくれません。支援をしていて、時には「人のせいばかりにして!」と腹立たしく思うこともありました。

 

なんでこんなに人のせいばかりにして自分のことに取り組めないのかとずっと不思議に思っていたのですが、この本を読んで、その人の中で「レジリエンス」が育っていないからではないかと考えるようになりました。

 

不登校や家庭内暴力などのようないろいろな問題が生じる前には、だいたいその前に学校や社会でのつまずき体験があります。つまり、そのつまずき体験からうまく「立ち直る」ことができないために、他責的になったり、問題が生じてしまったりしているのではないかと思ったのです。
そう考えると、他責的になっているのも上手く「立ち直る」体験が不足しているからなんだな、その体験を補ってあげればいいんだなと思えるようになりました。相手にもあまり腹を立てずに支援できるようになりました。

 

この本の良いところは「じゃあその「レジリエンス」はどうやったら身に付けることができるの?」という疑問にも答えているところです。まず生活習慣を身につけるというところから4つのステップでそれを説明しています。

1)生活習慣を整えること
2)人を頼って成功する体験を積み重ねる
3)家庭内で役割をもつ
4)サポートを受けて気持ちを切り替える

特に家庭で取り組みやすい内容になっていて変に小難しくなくて

僕の中では好感度が高くなっています。

 

子ども時代から取り組めると良いことですが、実際には大人になっても大事なことです。家庭内だけでなく、学校や施設などいろいろな場面で使いやすい概念であり、おすすめ書籍です。

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