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【続編】小学生から大麻(薬物)について打ち明けられたら何ができる?

【続編】小学生から大麻(薬物)について打ち明けられたら何ができる?
2015年11月20日 pulusu

もしも、ダルク*に、打ち明けられた大人の人から相談があったら・・・どう対応するか考えました。

 

先日の小学生の大麻使用についての記事(小学生の大麻使用の報道をみて思うこと〜「相談」できる環境を)には、大きな反響がありました。

子どもが話しにくいことを話してくれたら、まずなにより、「話してくれてありがとう」「よく話してくれたね」のひとことを伝えてください──という主旨の記事です。

だけど・・・

 

・その次に一体なにをしたらよいの?

・ダルクが薬物の相談ができる場所だといわれても、小学生が相談できるの?

・学校の組織の中で(管理職にも教育委員会にも保護者にも伝えないといけない)、教員として子どものケアのために何ができるの?

 

そんな問が浮かびます。難しいです・・・個別性が高くて、マニュアルのように対応できるものではないと思います。

このコラムでは、ダルクで家族相談に携わっている立場から、今、もしも、[小学生の薬物に関して例えば、養護教諭など、まわりの大人の人からダルクに相談があったらどう対応するか]について考えてみました。

*ダルク(DARC):薬物依存症のリハビリテーション施設

 

小学生の薬物の相談、よくあるわけではないけど、全くない話ではないです。

薬物こらむ2−5

最初に。今回、「日本初・小学生の大麻」「低年齢化」といった見出しを見かけましたが・・・小学生の薬物問題はこれまでなかったのでしょうか。

小学校高学年の子から、「覚醒剤がとまらなくて誰にも言えない」という相談メールが来たことがあります。自分でダルクのことを調べて。通常はメール相談は行いませんが、このときはメールで繋がりながら、子どもの住む近くで、臨機応変に対応してくれるクリニックを探し、申し送りをして、その子へクリニックの情報を伝えました。

地域から、小学校高学年の覚醒剤についての相談が入ったこともあります。様子がちがうと話をきいてみたら家族内で使用させられていた(これは、警察と児童相談所に介入してもらい緊急に子どもを保護してもらうよう伝える)。ガスの吸引が止まらないという周囲の大人の人からの相談もありました。

小学生の薬物の相談、よくあるわけではないけど、全くない話ではないです。

後に、ダルクに繋がった人が、いつ頃から薬物を使っていたかを尋ねると、小学校高学年くらいから覚醒剤などの薬物を使っていた人はいます。

薬物こらむ2−4

3つのパターンと、大切なこと

 

個別性はとても高いですが、薬の使い方を3つのパターンにわけると、少し頭が整理できます。

1 虐待のパターン(大人から薬物使用を強要されたり、勧められているパターン)

2 薬物を使う仲間や先輩などと使っているパターン

3 自分で入手してひとりで使っているパターン(違法薬物だと小学生ではふつうは考えにくい)

 

大切なこと

・虐待のパターンのときは、警察に介入してもらって、子どもを保護することを優先

・薬物を使う仲間や先輩と使っているパターンで、断りたいけど復讐が怖くて断れないときは、まずその子どもの安全を確保してから、まわりの人へのアクションを起こすことに注意(実際に危険)

・薬物の種類や程度によっては、やめたときに離脱症状がでるものある。入院が必要になることもある

・いずれにしても、子どもの心身の安全が第一

・ダルクへの相談、躊躇するようなら、児童の名前や学校名、先生の名前は明かさないで大丈夫です

 

薬物こらむ2−1

子どもがすぐに正直に言えないのは当たり前のこと

 

上記を意識して・・・実際に、先生から電話が入ったら、次のようなことを確認します。

・年齢

・本人(生徒)はどこにいますか? 安全が確保された状態ですか?

・しらふですか?薬物が入った状態ですか? そうだとしたらどんな様子ですか?

・使っている薬物の種類はわかりますか?

・いつからですか? 単発の使用ですか?繰り返し使っていますか?

・どこから手に入れたものですか? ひとりで使用?誰かと使用?(尋ねるけれど、子どもがそれを言えないのは当然と理解しておく。「言ったら殺される」くらいの感覚。現実にも起きうる)

・家庭の様子は?

 

まわりの人が気づいたときは、薬物問題に介入できるチャンスです。

連携先は、病院?(子どもの体、こころ、薬物 全部一度に診れるところはなかなか見つからないと思うので、優先順位を考える) 警察? 児童相談所? ダルクで家族相談? など、次の一手を、一緒に考えたいと思います。

子どもがこのままじゃマズイと思っているときは、支援のチャンスです。すぐに通報や強制的な介入ではなくて、子どもが信頼できる大人との相談をつづけながら、解決の糸口を見つけられたらと思います。

小学生で薬物で気分を変えないといけない・・・その背景を考えることが必要です。子ども自身はすぐに繋がらなくても、その大人の方が、治療機関、相談機関に相談ください。

薬物こらむ2−3

薬物こらむ2−2

 

 

 

 

※ダルクによっても対応は異なると思います。このコラムは1つの意見です。正解のないテーマですが、今考えられる対応を考えました。保健所や精神保健福祉センターで、薬物相談に力を入れているところなど、一緒に考えてくれることがあります。とても難しい問題だからこそ、いろんな知恵を持ち寄って個別に対応していけたらと思います。

 

おわりに・・・ダルクの利用者に、小学生が飛び入りで相談にきたらどうする?を聞いてみました(小学生は通所・入寮できるわけではありませんが、飛び入りで相談に来たら)。

「やめた方がいいと伝えたい。自分の体験をもとに、さすがに早いからまだアカン!とは言うけど、もし相談に来たら、もみくちゃにいじって、優しくする、大切にすると思う」

 

※次回は、ダルクの利用者Kさんの体験談を紹介します(完結編)。

#3どんな学校の先生だったら、もしかして薬物のこと相談できた?

 

#1小学生の大麻使用の報道をみて思うこと〜「相談」できる環境を